デスマーチの半分は「優しさ」で出来ています

東京で1年ぐらい仕事してきました。
やっと地元に帰れました。


東京のシステム開発の仕事は、規模がでかいのが多いです。
巨大システムを作っていることを誇りに思っている人も結構いるようです。


「地方だと、こういうレベルの高い案件ってないでしょ?」


そんなことを聞かれました。
たしかに、こんなに規模が大きい案件は私の地元ではありません。
やっぱ東京はすごいなーとそのときは思いました。


でも開発現場はまさにデスマーチの行進中でした。
目を覆いたくなるようなぼろぼろのソースコードの山、山、山。
会社にこなくなってしまう人がたびたび発生しました。
定時は23時です。
そんなのがずっと続きました。


ぼくは思いました。
「地方だと、こんなにレベルの高いデスマーチってないです。」



東京は案件の規模が
とんでもなくでかいのも、
ちいさいのも、
いろいろあります。
幅が広いということです。


そして、開発者も、
とんでもなく仕事ができるスーパーマンから、
ほとんど素人に毛が生えたような人まで、
幅広くいました。


そのデスマーチプロジェクトは、多数の脱落者を出しながら進みました。
そしてカットオーバーの時期を迎えましたが、
本番稼働しませんでした。


既に開発に2年かかっていますが、
結局、本番稼働を2年先にのばすことにしたそうです。
その前にも何度も本番稼働は延期されているのにも関わらずです。


デスマーチはなぜ発生するのでしょう?
開発者のスキルが低いから?
それも理由の一つかもしれませんが、決定的な理由ではないと思います。


デスマーチは安請け合いで作られます。
見積もりが適切なら、デスマーチなんて起こらないのです。


適切な金額でプロジェクトを見積もり、
決して安請け合いしない。
できないなら、やらない。


やると言ってしまったら、納期まで契約通りのシステムを作って納める責任ができます。
最初からやりません出来ません無理とはっきり言えば何の責任もないのです、


「技術者はできませんと言ってはいけない


なんてことを、言われたことがあります。
私が新人だったころ、教育の研修で講師が言っていたことです。


それは200%間違いだと、今は思います。


200%の意味は、
安く請け負ったプロジェクトがデスマーチ化することで100%、
それの見積もりを根拠に、次期案件も見積もられ、デスマーチを繰り返すことで100%、
あわせて200%の意味です。


安く仕事を取ってくる営業ほど悪いものはないと思います。


しかし、
サービス残業
徹夜の連続で
その安く見積もられた仕事のスケジュールに応える開発者も
また悪だと言えます。


サービス残業で頑張るのは、
安い不適切な見積もりを、
正当化してしまいます。


お客様の要望になんとか低コストで応えようとする営業。
必死にスケジュールに間に合わせようとサビ残する開発者。
たぶんそのどちらも善意で、優しさ、でやっていることなのです。
しかし、その優しさが悪なのです。


優しさがデスマーチを生むのです。


勇気をもって出来ませんと断ることで、
お客さんにも迷惑をかけない結果になり、
たくさんの開発者が救われるかもしれないんです。